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2026-04-03

「見えない敵との、終わらない戦争」

朝。

静寂を切り裂くのは、目覚ましではない。

――クシャミだ。

一発、二発、三発。

まるで体内に潜んだ裏切り者が、外の世界に信号を送っているかのように。

洗面所。

薄めたハイターの中で、シャワーヘッドが沈んでいる。

静かに、しかし確実に、黒い何かを吐き出していく。

ボロボロと。

まるで「ここにいたぞ」と、存在を主張する亡霊のように。

歯ブラシ。

毎回、洗剤で洗い、振り、乾かす。

だが問いは残る。

「それでも、足りないのではないか?」

髭剃り。

月一の“処刑”。

洗剤の海に沈められ、無言のまま浄化される。

風呂場。

歯ブラシ片手に、浴槽の黒点と対峙する。

ゴシゴシ。

ゴシゴシ。

これは掃除ではない。

討伐だ。

そして最大の敵――エアコン。

羽の奥に潜む、黒い群れ。

掃除すれば、しばらく空中に舞う。

まるで言っているようだ。

「終わったと思うなよ」と。

アレルギー反応のあるものは、すべて排除した。

目に見える敵は、ほぼ殲滅したはずだ。

それでも。

朝になると、またクシャミが出る。

なぜだ。

答えは簡単で、残酷だ。

敵は、外にもいる。

そして――体の中にもいる。

花粉、ハウスダスト、温度差、体質。

完全勝利など、最初から存在しないゲーム。

それでも人は戦う。

ハイターを薄め、

ブラシを握り、

エアコンの奥に手を突っ込む。

なぜか?

「楽に息ができる朝」を、ほんの数日でも手に入れるために。

そして今日もまた、

クシャミと共に、戦いは始まる。

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