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2026-03-23

悪魔との取引

夜の帳が降りるころ、ようやく身体が軽くなる。

まるで見えない鎖が外れたように。

昼間――

あの白い錠剤を飲んだ瞬間から、何かがおかしくなる。

鼻水は止まる。

くしゃみも消える。

だが、その代わりに奪われるのは――「生気」だった。

鉛のように重い身体。

ぼんやりとかすむ意識。

ソファに沈み込む自分を、どこか他人のように見ている。

「ただのアレルギー薬のはずだ…」

心の中でつぶやくが、答えは返ってこない。

効きすぎているのか、それとも――合っていないのか。

夜。

薬が切れ始める。

再び戻ってくる、あの不快なくしゃみ。

だが同時に、確かな「自分」も戻ってくる。

ハッキリした意識。

軽くなる頭。

取り戻した感覚。

その瞬間、確信する。

――これは、引き換えにするには重すぎる代償だ。

「倦怠感か、くしゃみか…」

静かな部屋で、自分に問いかける。

そして、答えはもう出ていた。

「……くしゃみでいい」

白い錠剤を見つめる。

それはまるで、甘い顔をした支配者のようだった。

ゆっくりと手を離す。

明日もまた、くしゃみは止まらないだろう。

だが少なくとも――

自分は、自分でいられる。

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