ブログ

Blog

ブログ

2026-01-02

負けないための撤退

それは、ある個人投資家の静かな撤退戦だった。

クレジットカードは封印された。

一万円を超える買い物は、即決しない。

紙に書き、机の上に置き、日をまたぐ。

欲望と理性の、持久戦である。

車――

それは彼の人生における最大の出血源だった。

買い替えのたびに、財布から血が流れた。

止血は効かず、気づけば数年が過ぎていた。

「次に車を買い替えたら、死ぬと思うことにする」

冗談のようで、覚悟だった。

最後の一撃は、ランクル250。

“儲かるはずだった”。

そう信じていた。

だが現実は違った。

鼻血が止まらないほどの、確定しつつある損失。

ここで彼は悟る。

——もう、勝負の場ではない。

株式投資も、同じだった。

一髪逆転を狙う相場から、静かに身を引く。

含み損のある株は、ただ待つ。

プラスに転じた、その瞬間だけを。

そして移す先は、S&P500。

派手さはない。

だが、確実に積み上がる道。

「今さらだが、長期投資にする」

遅すぎる決断かもしれない。

しかし、遅すぎても、やらないよりはいい。

孫への“年貢”も、減額された。

甘やかす時代は終わった。

守るべきは、老後の生活と、心の余白だ。

そして彼は、毎日を取り戻す。

YouTube三昧。

誰にも急かされず、誰とも競わない時間。

派手な成功はない。

劇的な逆転もない。

だがこれは、

**「負けないための撤退」**という名の挑戦だった。

——プロジェクトX。

挑戦者たち。

今日もまた、一人の男が、

静かに戦線を整理した。

検索