誠建設工業グループ
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2025-10-22
ロレックスをした老婦人が、昼下がりの路上で襲われた。
「家に現金を置いているらしい」――そんな噂がどこからともなく流れて闇バイトに襲われる。
悪意ある者からすれば、狙いは単純だ。体力の衰えた者ほど、抵抗せずに金を出す。
いまや、弱さと富は同義語になりつつある。
災難に遭わぬ確率を上げるには、たった二つの条件がある。
一つ、体力がありそうに見せること。
もう一つ、金目のものが無さそうに装うこと。
だが現実は逆だ。
多くの高齢者が、ブランドを纏い、SNSに日常を晒し、見えぬ敵に居場所を教えている。
私は幸運だ。ブランド品とは縁がない。
旅行ではいつも、くたびれたバックパッカーのような格好で歩く。
唯一の例外はiPhone。
携帯乞食の恩恵で月々2円の契約だが、失えばその瞬間に“ただの高級品”へと戻り弁償だ。
便利さとは、時にリスクの別名だ。
今年、海外の電車で席を譲られた。
初めてのことだった。
――年齢は、隠せない。完全なターゲットになった自分。
老いはパスポートにも顔写真にも書かれていないが、誰の目にも映る。
だから、危険な場所には近づかない。
それが、今の私の“防御術”だ。
君子、危うきに近寄らず。
だが時に、危うきは向こうから静かに近づいてくる。